王毅外相(右)と握手する岩屋外相(代表撮影・共同)
岩屋毅外相は25日、訪問先の中国・北京で李強首相や、王毅共産党政治局員兼外相と会談した。岩屋氏は、沖縄県・与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が新たに設置したとみられるブイの即時撤去や、日本産水産物の早期輸入再開などを要求した。一方で、日中双方で「戦略的互恵関係」を推進することを呼び掛け、来年早期の王氏訪日に向けて調整する考えで一致した。岩屋氏は会談後、中国人向けの査証(ビザ)発給要件の大幅緩和を表明した。今回の訪中を、ドナルド・トランプ次期米政権のメンバーはどう見ているか。ニューヨークに滞在するジャーナリスト、長谷川幸洋氏が緊急寄稿した。
◇
岩屋外相の訪中は、トランプ次期米大統領の就任直前というタイミングで行われた。中国の「日米同盟に楔(くさび)を打ち込みたい」という思惑を十分承知しながら、日本が応じたかたちだ。米国は石破茂政権への不信感を強めたに違いない。
日中両外相は会談で「戦略的互恵関係」を推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築するという方向性を確認した。会談では、「来年の最も早い適切な時期」に王氏の訪日を実現し、その際に「日中ハイレベル経済対話」を開催することで合意した。
さらに、岩屋氏と阿部俊子文科相は、王氏らと「ハイレベル人的・文化交流対話」を開き、日中間の人的・文化交流の再開でも合意した。
中国による沖縄県・尖閣諸島周辺での威嚇・挑発が止まず、拘束されている日本人の解放もないなか、石破政権は〝なし崩し的〟に中国との連携強化に驀進(ばくしん)している。
そもそも、10月に外相に就任したばかりの岩屋氏が真っ先に訪問しなければならないのは、日本にとって唯一無二、最重要の同盟国・米国であるはずだ。