◆レスリング◇全日本選手権 最終日(22日、東京・代々木第二体育館)
今夏のパリ五輪に出場した日本代表選手が、全日本選手権の会場で観客に向けて五輪の報告を行った。報道陣の取材にも応じ、それぞれの「今年の漢字」を明かした。
女子53キロ級で初出場で頂点に立った藤波朱理(日体大)は「夢」。パリ五輪で金メダルの夢をかなえ、28年ロス五輪に向けて「また新しい夢ができた1年。自分にとっての夢の大切さ、夢に向かって頑張れる日々が、自分の1番の幸せだと感じられた1年」と込めた思いを語った。
女子62キロ級金メダルの元木咲良(育英大助手)は「勇」とした。その理由を「今までそんなにうまくいった競技人生じゃなかった。そんな自分が五輪でメダルを取って夢をかなえた姿に、いろんな人が勇気をもらったと言ってくれた。これからも自分が頑張り続けることで、たくさんの人に勇気を与えたい。来年は勇ましい姿で1年を過ごせるようにという意味も込めた」と明かした。
男子フリースタイル57キロ級王者の清岡幸大郎(三恵海運)は「激」を挙げた。昨年までシニアの国際大会の経験がない状態から一気に世界の頂点に駆け上がり「こんなに国際大会に1年間を通して出たのも初めて。五輪を終えて、自分の生活も激変した」と激動の1年を振り返った。
女子68キロ級銅メダルの尾崎野乃香(慶大)は「信」。本来の62キロ級で逃した切符を68キロ級に上げてつかみ、五輪の表彰台に立った。「自分を心の底から信じられる試合が今年はできた。すごく成長できた1年」とかみしめた。
男子フリースタイル74キロ級銀メダルの高谷大地(自衛隊)は「硬」とした。石のような硬さで堅実に、手堅く練習や生活を重ね、激戦の階級で銀メダルを獲得。「意志が固いので」と胸を張った。男子グレコローマンスタイル67キロ級の曽我部京太郎(ALSOK)は「感」。五輪は無念の初戦敗退となったが「多くのことを感じられた1年。悔しい思いも、うれしい気持ちもたくさん感じることができて、いろんな人に見てもらっていたことも感じた」と支えに感謝した。