兵庫 百条委で最後の証人尋問 専門家“内部通報体制の検証を” | NHK

兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題を調査する県議会の百条委員会は、25日最後の証人尋問が行われていて、告発した県の元幹部への県の対応について、公益通報制度の専門家は、内部通報に対する当時の体制を検証する必要があるという認識を示しました。

兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県議会の百条委員会は25日午前10時ごろから証人尋問を行っていて、午前中は、公益通報制度に詳しい結城大輔弁護士が参考人として出席しました。

この中で結城氏は、県が告発文書を作成した元幹部を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にした対応などをめぐり「仮に公益通報に該当しなくても一般的な企業や組織の対応をしている感覚では、通報に不利益な取り扱いをしないことは組織のルールで対応している。配慮しながら進めていくのが実務的な感覚だ」と述べました。その上で「県としてどのような体制整備がされていたのか、きちんと見る必要がある」と述べ、内部通報に対する当時の体制を検証する必要があるという認識を示しました。

百条委員会の証人尋問は25日が最後となり、午後は斎藤知事が先の知事選挙での再選後、初めて出席し、質疑が行われる予定です。

百条委員会は、都道府県などの事務で重大な問題や疑惑が生じた際に、地方議会が真相解明を行うために設置します。地方自治法100条の規定に基づいていることから「百条委員会」と呼ばれています。百条委員会には強い権限があり、調査のため関係者に証人として出席を求めて質疑を行ったり、資料の提出を求めたりすることができます。また証人が正当な理由なく欠席したり、虚偽の証言を行ったりした場合は禁固などの罰則が科されることがあります。兵庫県議会ではことし6月の定例会で、自民党などが百条委員会の設置を求める動議を共同で提出し、一部の会派が反対したものの賛成多数で可決されました。

議会事務局によりますと、兵庫県議会で百条委員会が設置されたのは51年ぶりだということです。

兵庫県議会の百条委員会が設置されたきっかけは、県の元幹部が作成した斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書です。元幹部は告発文書をことし3月中旬、報道機関などに送り、4月上旬には県の公益通報制度を利用して内部通報しました。しかし、元幹部は公益通報の保護対象とされず、停職3か月の懲戒処分になりました。県議会では「客観的な調査が必要だ」などと意見が出て、6月の定例議会で百条委員会の設置が決まりました。7月には告発文書を作成した元幹部が証人として出席を求められましたが、その前に亡くなっているのが見つかりました。捜査関係者によりますと、自殺の可能性があるということです。その後、8月から証人尋問が始まり、斎藤知事や元副知事、そして県職員らが証人として出席しました。一方、9月には百条委員会の調査が続く中、県議会は「県政に深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」として知事の不信任を全会一致で議決しました。斎藤知事は失職し、11月には知事選挙が行われました。選挙の告示前にも証人尋問が行われましたが、影響を考慮して斎藤知事の出席は求められず、尋問の内容も選挙後まで公表されませんでした。また、委員会が行った県庁職員へのアンケートでは、全体のおよそ4割が知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあるなどと回答しています。証人尋問はこれまで7回行われ、知事や元副知事などのべ31人が出席しました。斎藤知事は2回出席し、パワハラや贈答品の受け取りがあったのか質疑が行われました。

今回は再選後初めてで、9月6日以来、3回目の出席となります。

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