ダウンタウンの松本人志さんに単独インタビューを行った芸能記者・中西正男さんが25日、関西テレビの情報番組「旬感LIVE とれたてっ!」に出演し、取材の裏側をたっぷりと話した。
■松本人志さんへの単独インタビューを行った経緯
Q.松本さんとのインタビューは1対1で行ったのか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:私がやっているYahoo!の連載で、松本人志さんの話を伺うということになり、何日か前にお話しを伺いました。
Q. 松本さんは裁判に訴えましたが、訴えを取り下げ、会見などは行っていない。どういった形でインタビューが成立したのか?
この記事の画像(8枚) 芸能ジャーナリスト・中西正男さん:松本さんサイドと私が色々な話をする中で、松本さんがしっかり話をできる場を考えていると。会見をしても、裁判の内容については文春側との取り決めで、細かい所は話せない中で、たくさん記者が来てもなかなか答えられない所もあるし、フラストレーションがみんなにとって溜まるであろう。それだったら、しっかり自分がしゃべるべきことを伝えられる場を作った方がいいということがあり、私のYahoo!の連載を使ってもらうことになりました。
Q.芸能活動を休止されている松本さんだが、様子や雰囲気は?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:いわゆるテレビで見ているとおりの松本さんでした。極端にやせられているとか、太られているとか、髪型が変わっているとかいうことなく、いわゆるテレビで見ていたような松本さん。空気も特に憔悴しているとかもなく、こちらがイメージしているような松本人志さんの姿ではありました。
どういったインタビューが行われたのか中西さんの取材を見ていく。
■活動休止から約1年 松本人志さんの“胸中”
松本人志さん:「話をさせてもらう前に、まずこれはしっかりと言っておきたいんですけど、今回のことでたくさんの人にストレスを与えてしまった事、ここに対してすごく申し訳ないと思っています。 本当に何を聞いてもらってもいいんです。僕もしっかりとお答えするつもりでここにいます」
Q:取材の冒頭にこの話をされているということは、「これが前提となる」と、もっとも最初に言いたいことか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:そうですね。部屋に入って、軽いあいさつをして、座って、さぁ始めるという時に、おっしゃったのが本当にこの言葉だったので、『まずこれを言わない限り、次の話はできないと思うので、ここから話をさせてもらいます』ということでした。
松本人志さん:「自分の考えからすると、『これはアカン』と感じる報道への憤りというか、正義感というか、そういうものが色濃く昔からあったんです。ほかの多くのタレントさんよりも、そこの熱は高かったと思いますし、「これはなんとかしないといけない」という思いも強かった。 そんな中での今回のことだったので、これは訴えるしかないとすぐに決めました」
Q.この文言を見ると、訴えに関しては、すぐに「訴えるぞ」と決めたということか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:松本さんの場合は、今回の文春のことだけじゃなくて、若いころから『これは看過できひん』、『これはアカンやろ』という報道が多々あったと松本さんは感じていらっしゃったと。その中で、その矢が自分にダイレクトに飛んできたので、『これは訴えるという一番強いカードを切るしかないとすぐに決めた』とおっしゃっていました。
Q.“ワイドナショー”で色んな芸能人のことを伝えていた中でも、こういうことがあれば自分だったらすぐ訴えたいという気持ちがあったということか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:それが『ずっと昔から溜まってて、それがこのタイミングになった』とおっしゃってました。
■「自分と思っていたのとは違った」裁判について感じた“誤算”
裁判は途中で“取り下げ”という形になり、明らかになかった。 裁判に関して松本さん側は“誤算”があったと話す。
松本人志さん:「簡単に言うともう少し早く決着がつくと思っていましたし、証明したいことが、もっと早く形にできると思っていたんです。でも、始まってみると、どうやら長くかかりそうだ。しかも、当初の目標を達成しても、それが広く納得に結びつくのかという疑問も出てきた。 自分から『裁判に注力するため』に、仕事を休んだわけですけど、いつの間にか仕事に戻れなくなっている」
Q.松本さんも「ここまで裁判に時間と労力がかかると思わなかった」とおっしゃっていた?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:そこは正直に、『自分と思っていたのとは違った』とおっしゃっていました。僕は松本さんのスポークスマンでもなければ、代理人でもなければ、1人の記者として聞くべきことを聞くためにここに行っているので。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:松本さんも『逆に中西さんがそれちゃうんちゃうかと思うようなことがあったら、当たり前やけど言うてくださいね。それ言ってもらった方が自分もそれに対してちゃんと話ができるしっていう環境の中で話はしたかったんで』って」 「『そもそも裁判で周りの人から聞いていたことと、自分が不勉強な所もあったのかもしれないけれど、全然違った』という、リアルな思いをそのまま言っているのではと思いました。
■「色んな人が自分のことを応援してくれているのかということを、きれいごとではなくものすごく思った」
Q.報道が出てから、このインタビューに至るまでで、松本さんが後悔の念をいただいていると感じた部分はあるか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:後悔というか、『純粋に思ってたんと違った』、その訴えを取り下げるというのも『100点の策だとは思っていない』。ただ、ここから先、長い時間をかけて色々なことを戦っていったとしたら、まず時間がかかる、それで得た『これが俺が言ってたことや』ということが証明されたとしても、それで『世の中の人が納得してくれるかどうかというのも、当初の自分が思っていたのとも違う』というのもリアルにおっしゃっていました。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:このままやったら何年かかるか分からへん、いかに自分が色んな人に待ってもらっているのか、色んな人が自分のことを応援してくれているのかということを、きれいごとではなくものすごく思ったと。その人たちがいる以上、いつ終わるか分からない戦いを、いつまでもやっているのが、果たしていいのか?それも訴えを取り下げる大きな要因になったというのも強くおっしゃってました。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:このままやったら何年かかるか分からへん、いかに自分が色んな人に待ってもらっているのか、色んな人が自分のことを応援してくれているのかということを、きれいごとではなくものすごく思ったと。その人たちがいる以上、いつ終わるか分からない戦いを、いつまでもやっているのが、果たしていいのか?それも訴えを取り下げる大きな要因になったというのも強くおっしゃってました。
■給料明細をみて「本当に自分は仕事をしていないんだと、心がしんどなった」
松本人志さん:「僕からすると、今回の記事において、物的証拠がないと文春サイドが認めた。証拠がないなら、引き続き裁判をやって完全勝利を目指せばいいじゃという考え方もあると思うんですけど、それだと3年なのか5年なのか、かかるかもしれない」
「しかも収入もない。そして、ありがたいことに僕を待ってくれている人もいる。総合的に考えた結果が、今回の形だったんです。 実際に休んでリアルに感じたことだったんですけど、収入がなくなるんですよね。休むことを決めたのは自分です。当然、頭では分かっていたんですけど、毎月送られてくるギャラの明細を見ると、恐らくアルバイトをされている学生さんよりも少ない。本当に振り込まれない。 吉本興業ってすごいなとも思いましたし(笑)、純粋にプライドをへし折られました。何回も言いますけど、自分が決めたことです。」
「でも、実際に現実を押し付けられるというか、明細を見ると、屈辱を感じました。 『これがあと何年も続くんや』。そう思ったのも実は大きいことだったんです。『いやいや、お前貯金があるやろ』と言われる方も多いと思いますけど、そういうことじゃなく心がズタズタになる。 自分で決めた道ではあるんですけど、そんな状況にいることの不健全さを感じたんです」
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:お金の話もリアルな話なのでどうしようかなと逡巡をしながら、この話をしました。これも正味な話をしているのだなと思いました。この時僕も言ったのは、『そもそも松本さんが休むと決めたことですよね、人から言われたわけでもないし、人から無理強いをされたわけでもない、ご自身でやったことなんですよね』と。『そうなんです、よく分かったつもりなんですけど、ただ、実際そうなると思うことがあるんやなあと思ったんです』と。要は『物として、給料明細見て、全然お金はいってないとなって、本当に自分は仕事をしていないんだと、心がしんどなる』、『物を見て思った所があった』と重ねておっしゃってました。
■戻る場所は『ダウンタウンチャンネル(仮)』
松本人志さん:「訴えを取り下げて仕事に戻るとなったら、何をどうするのがいいのか。それで出てきたのが、『ダウンタウンチャンネル(仮)』。これはね、前々から構想はあって、周りで言ってくれる人もいたんです。 「『ダウンタウン』を見るならここ」という独自の基地局を作る。見たい人に見てもらいたい物を直接届ける。すでに実際に会議もしていますし、来春あたりにスタートしたい。 週に何本か見てもらえる番組も作りたいと思っていますし、お笑いをする松本人志を見る場としては、ここが最初になると思います。」
Q.戻る場所としてはスポンサーいる地上波テレビとかではなく、見たい人がお金を払って見に行く場所ということになるのか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:そうですね。こうやって新しいものを作るとなると、ある種“反テレビ”、テレビとの決別のようにとらえる人もいるかもしれないけれども、そういうことじゃなく、今の自分からしたらこういう場所を作るしかない、必要だと。自分は“雇われの身”ということがよく分かった。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん: スポンサーさんやテレビ局の人が『出て』って言えないのであれば、自分は仕事がない立場なんだ。今、自分を出すことによって、色んな人が無理したり、迷惑かかったりしてしまう。そんな中で出してもらったら逆に申し訳ない。 それだったら、自分が能動的に動いて、自分が新しい場所を作って、そこやったら自分の意思で出られる所を作った方が、だれにも迷惑もかからないし、待ってくれている人がたくさんいるのであれば、いつまでも待たせるのではなく、その場さえ自分たちが頑張って作ったら、その人たちにも見てもらえる」。その2つの意味で、この『ダウンタウンチャンネル(仮)』を考えたとおっしゃってました。
Q.来年の春あたりにスタートしたいとありますが、具体的に動いているのか?
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:来春にやるということで、番組を作ると考えているということでした。例えば4月に番組を流そうと思うと、4月よりは前、例えば2月には動いていないといけない。2月に動くためには1月の段階では、だれに来てもらって、どんなことするのかってもう決めておかないといけない。そうなると、今具体的な話をしているんだなと、話のトーンからはうかがい知ることができました。
■相方・浜田雅功さんについて…
松本人志さん:「ダウンタウンチャンネル(仮)」をやるということで、浜田とも話をしました。直接会ったのは、2~3回だったと思います。 今回のことで「ごめん、ごめん」みたいなことは言いましたけど、別に何のクレームも言ってこなかったです。 浜田も忙しいですし、これ以上に新しいことを始めるのも大変かもしれません。だけど、どんなジャンルであろうが、何をするんであろうが、とにかく一発目は浜田と二人でやりたい」
Q.コンビにしか分からない距離感というのがありますね。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:僕は芸能記者なので、芸能活動やエンターテインメントの部分をどう考えているのかの話を伺うに際して、相方さんに対してどう思っているのかは絶対に聞かないといけない領域なので。コンビで相方のことを言うって独特の照れくささとか、独特の言いにくさがあったりしますが聞かなければいけないと思い、僕も出力を高くして聞きました。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:松本さんもだいぶ言葉を選んでいるように感じました。浜田さんには浜田さんのことがあるから、俺がやりたいから浜田がここに付き合わないといけないわけでもないし、でも、やるんだったら浜田と。その中ですごく迷いながら言葉を絞り出すようにここから先、どんな形のものをするかここから決めていきますけど、ただ、何をやるにしても、最初は浜田と二人でやりたいと思いますとおっしゃいました。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:松本さんが『浜田と二人でやろうと思います』なんて、そんなストレートに相方さんとのことをしゃべるなんて、僕にとっては意外というか、そんなストレートな言葉遣いされるんだと、松本さんの顔を二度見するぐらいに、その言葉遣いにびっくりしましたし、取材の場なのにそれを文字に、自分の口からしたことに浜田さんへの想いがあったように感じました。
■「今、“売れてない”と認識なんだろうなと。また“更地に戻った”と思っているんだろうなと強く感じた」
松本人志さん:「変な仮定ですけど、今年が普通の2024年だったら、なんとなく2~3年でこの仕事を辞めていたと思います。現状に何となく満足しているような感じになって、2~3年で区切りをつける。 実際、辞める算段というか、完全にゼロにはならないかもしれないけど、番組を整理して、こんな流れで…ということは考えていました」
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:軽々に言えることではないけど、この1年に色んなことがあって、松本さんの内面とか考え方とか色んなことが変わったということの表れだと思います。
松本人志さん:「ただ、このまま終わる気はないです。よく『大阪芸人は2回売れないといけない』と言われてきました。大阪で売れて、そこからまた東京で売れないといけない。 僕は3回売れないといけない。今までの“売れる”とは違うのかもしれませんけど、ここから3回目を目指そうと思っています。 もう1回売れるためにやる。来年はそんな年になると思っています」
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:もう1回売れないといけないということは、逆に言うと今、“売れてない”と認識でいらっしゃるんだろうなと。“売れない”というか、また“更地に戻った”と思っているんだろうなと強く感じました。
芸能ジャーナリスト・中西正男さん:今回のことによって2回売れたけど、またもう1回ゼロに戻ってる、だからここからもう1回、3回目の“売れ”を作らないといけないという決意というか、過不足ない自分の現状みたいなことを認識しているのではないかと、その覚悟を感じました。 何となく過去の名前でやっていくのではなく、もう1回ゼロから芸人さんが売れるようなことを、1からしなければ自分のこの先がないと思っているから、3回目という言葉が出てきたのだと思います。
最後に中西正男さんがインタビューで強く感じたということが「松本さんの考えていることの根底に、ファンの存在がある」と語った。